コラム
蓄積だけじゃもったいない!製造現場のデータ利活用“はじめの一歩”

近年、製造業におけるDX化の推進により、現場のデータを蓄積・活用することが一層注目されています。しかし実際にデータを活用して様々な改善活動に役立てられている企業は少数で、大多数の企業は「とりあえずデータを溜めている」状態ではないでしょうか。
この記事では、そもそも現場データを蓄積するメリットが何かを再確認した後、データ活用までの具体的なステップや、活用時の注意点を説明します。
「データ活用はしたいけど何から手を付けたらいいか分からない」という方必見です。
1. 製造現場データを蓄積したほうがいい理由
まずは「そもそもなぜ製造現場のデータを蓄積すべきなのか」を再確認しましょう。
人手不足が深刻化する昨今の製造現場では、業務属人化やヒューマンエラーの防止、生産性アップのための作業工程見直しなど、解決しなければならない課題が山積みです。
しかし日々の業務が忙しく、改善や見直しに使う時間がない方がほとんどではないでしょうか。そんな時に役立つのが「製造現場のデータ」です。
データを分析することで傾向を把握することができ、ボトルネックを発見することもできるため、課題解決の近道となります。
データを分析するためには、まずデータを「蓄積する」必要があります。
つまり、データの蓄積は目的ではなく、その先にある課題を解決するための「手段」ということです。このことを常に念頭に置きながら、「とりあえず溜める」状況を打破し課題解決につなげていきましょう。

2. どう使う?データの活用方法
現場のデータを活用することで様々な課題を解決できることが分かったので、次はより具体的な「データの活用方法」を見ていきます。
- 製造現場における主なデータ活用方法
- 製造設備の予知保全
- 技術継承問題の対策
- 製造プロセスの最適化
製造設備の予知保全
予知保全とは、設備の劣化や故障を事前に予測し、適切なタイミングでメンテナンスを行うことです。
現場のデータ分析により、その数値傾向から設備の状態を把握することができ、最も適したタイミングで保全活動を行うことが可能です。
これにより、メンテナンス頻度を最適化して作業工数を削減できるだけでなく、突発的な設備故障も未然に防げるため、生産性向上につながります。
なお、予知保全に関してより詳しく知りたい方は以下も併せてご覧ください。
● 予知保全とは?製造業なら導入したい「AIを活用した保全」を解説!
https://www.uis-inf.co.jp/dins/column/column_maintenance.html
技術継承問題の対策
ベテラン社員が持つ知識や技術等、いわゆる「職人技」の継承にも、現場データの活用が有効です。
例えばベテラン社員の作業データを数値化することでノウハウをスキーム化でき、誰もがその技術を再現しやすくなります。これにより若手社員への技術継承がスムーズ行えるだけでなく、「特定の人しか対応できない」といった作業属人化の防止にもつながります。
製造プロセスの最適化
製造プロセスが複雑になればなるほど作業負荷の集中や属人化が発生しやすく、それにより納期遅延や生産性の低下が発生する可能性も高まります。
このような場合、生産設備のデータを分析することでプロセスのどこに問題があるかを的確に発見でき、より具体的な改善策を講じることが可能です。製造プロセスを最適化することで作業効率がアップするだけでなく、リソース再配分による作業負荷の軽減にもつながります。

3. データ活用までの5ステップ
ここからは実際に現場データを活用するまでにはどんな手順を踏む必要があるのかを見ていきます。より流れを分かりやすくするためにデータ蓄積の前段階から説明をしていきますので、既にデータ蓄積まで完了している方は再確認するつもりでご覧ください。
Step1:解決したい課題を明確にする
まずは「現場データを活用して解決したい課題は何なのか?」を明確にします。データを蓄積することが目的にならないよう、関係者間の認識合わせもしっかり行うようにしましょう。
Step2:データを収集・蓄積する
課題を解決するために必要なデータを収集・蓄積します。
いざ活用しようとしたときに「データが足りない」とならないよう、必要なデータは漏れなく収集するようにしましょう。
Step3:データを分析する
収集・蓄積したデータを分析し、規則性や相関関係の有無等を確認します。
この時データ分析の専門家や専用ツールを活用すると、より高精度の分析が可能となります。
Step4:データを可視化する
分析結果を誰が見ても分かるような形(グラフや表)に加工・整理します。
これにより経営層や上司等が分析結果を正しく把握することができ、スムーズな意思決定につながります。
Step5:課題解決に向けたアクションの実行
データ分析によって分かった課題の原因を解消するためのアクションを実行します。
実行後は改善が見られたかどうかを振り返り、適宜PDCAを回しながら最適化を目指しましょう。

4. データ活用時の注意点
データ活用までの流れが分かり「いざ実行!」と行きたいところですが、その前にデータ蓄積・活用をより安全に行うための以下2点について確認しておきましょう。
- 情報セキュリティに関する正しい知識を持っているか
- 製造現場のセキュリティ体制は十分か
情報セキュリティに関する正しい知識を持っているか
蓄積されたデータには個人情報や機密情報が含まれている場合があり、それらを適切に保護する必要があります。事前に情報取扱に関する社内体制の整備を行うとともに、社員向けのセキュリティ研修なども実施しましょう。
ただ、社員のセキュリティ意識醸成は一朝一夕でできるものではないため、入社時研修や定期的な勉強会の実施等で、常に意識レベルを高めておくことが大切です。
製造現場のセキュリティ体制は十分か
データ収集・蓄積・活用に際して製造設備や関連機器を外部のネットワークやクラウドに接続する場合には、それらのセキュリティ体制が十分であるかを事前に確認しましょう。
- 特に注意するポイント
- 使用ツールのOS・ソフトウェアは最新のものか
- ウイルス対策ソフトの更新頻度は適切か
- ログインや閲覧制限など、共有の設定は適切か
- データは暗号化されているか
- 高度なアクセス認証を設定しているか
- 不要なカウントが存在していないか
設備管理者はIT担当者と連携し、多角的な視点でセキュリティ管理を行いましょう。

5. 現場のデータ利活用 “はじめの一歩”
ここまでの内容で、製造現場のデータが非常に有益であると同時に、それらを安全かつ効果的に利活用するためには事前準備を念入りに行う必要があるということが分かりました。
「データは活用したいけど、知識も時間もない」と思った方、ご安心ください。
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https://www.uis-inf.co.jp/dins/sailess/
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● 大阪ガスリキッド株式会社様の事例
https://www.uis-inf.co.jp/dins/case/osakagasrikiddo.html
とはいえ、解決したい課題や状況は企業様によって千差万別です。
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現場データの蓄積・活用に関するご相談はこちら
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貴社にあった最適な方法を一緒に見つけていきましょう。

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