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機械学習モデルとは?種類や作り方から活用事例まで徹底解説!

機械学習モデルとは?種類や作り方から活用事例まで徹底解説!

機械学習モデルとは、大量のデータからコンピューターが自ら予測や分析を行い有用な情報を導き出す仕組みです。人間では気づきにくい傾向や予兆なども、機械学習モデルであれば短時間で高い精度で捉えることができ、多種多様な分野で活用されています。
この記事では、機械学習モデルの概要・種類・作り方・選ぶポイントなどを解説します。活用事例も紹介しているので、導入を検討している方はぜひ最後までお読みください。

1. 機械学習モデルとは何か

機械学習モデルとは、コンピューターに大量のデータを学習させることでコンピューターが自ら判断し、適切な回答を導き出す仕組みです。具体的には、機械学習(アルゴリズム)を用いて学習を行い、その結果をモデルとします。コンピューターは、あらかじめプログラムされた回答を返すだけでなく蓄積されたデータから学習し、新たな状況にも対応できる柔軟な回答を生成します。

機械学習モデルが持つ価値とは

機械学習モデルが持つ最大の価値は、人間の決断をサポートしてくれる点です。人間は知識や経験に基づいて行動するため、経験したことのない事態への対応は得意ではありません。一方で、機械学習モデルはいろいろなデータから新たな判断基準を生み出し、有益なアドバイスを提示できます。
また、人間には到底扱えない膨大なデータ量を短時間で分析できる点も大きな強みです。VUCAと呼ばれる複雑性・不確実性・揮発性・曖昧性に満ちた現代社会において、機械学習モデルは人間には予測困難な状況を迅速かつ的確に把握し、適切な対応策を導き出すことができます。

AI・機械学習・ディープラーニングの関係性

機械学習について調べていくと、「AI(人工知能)」「ディープラーニング」といった言葉が頻繁に登場します。
AI(人工知能)とは、人間の知能を模倣し、さまざまなタスクを実行するコンピューターシステムです。人間の思考と同様の動作をするシステム全般を指します。
機械学習とは、AIの一種であり既知のデータからパターンを学習し、そのパターンに基づいて未知のデータに対する予測や意思決定を行う技術です。
ディープラーニングとは、機械学習の手法の一種であり、多層のニューラルネットワークを使用して複雑なパターンや表現を学習する技術です。その高い柔軟性と学習能力により、画像認識、自然言語処理、音声認識などさまざまな分野で革新的な成果をあげています。

2. 機械学習モデルはさまざまな場面で活躍

機械学習モデルは、業種や業務内容に関わらず、さまざまな場面で活用されている技術です。代表的な技術と活用事例には、以下のようなものがあります。

技術 活用事例
データ分析 購買履歴に基づくマーケティング
需要予測 飲食店の来客予測
自然言語処理 対話型のAIチャットシステム
音声認識 音声データの文字起こし
画像認識 医療画像解析による診断サポート
顔認証機能 スマートフォンの顔認証セキュリティ
異常検知 製造ラインの監視システム

これまで人間の経験と勘に頼っていた業務や、時間と労力を費やしていた業務が、機械学習モデルによって効率的に処理できるようになってきております。

3. 機械学習手法の種類

機械学習手法には、以下のような種類があります。

  • 教師あり学習
  • 教師なし学習
  • 強化学習
  • 半教師あり学習

単に機械学習手法と言ってもその種類はさまざまで、それぞれ異なる特徴と得意分野を持ちます。それぞれの違いを理解し、目的に合った手法を選択することで、より効果的なモデルを作ることが可能になります。
ここからは、代表的な3つの機械学習手法について解説します。

教師あり学習

教師あり学習とは、正解ラベル付きデータを用いてモデルを構築する機械学習の手法です。正解ラベルの付いた「教師データ」を学習することで、新たなデータの正解ラベルを推測することが可能になります。
例えば、猫の画像データに「猫」という正解ラベルを付けて学習させることで、それが猫の画像か否かを判別できるようになります。
教師あり学習には、「分類」「回帰」という2つのタイプがあります。
分類はデータをグループ分けするもので、回帰はデータの連続性を予測するものです。

タイプ できること(例)
分類 ・手書きの数字を識別する
・メールがスパムメールか識別する
回帰 ・明日の天気を予測する
・将来の売上げを予測する

教師なし学習

教師なし学習とは、正解ラベルなしデータから学ぶことでモデルを構築する機械学習の手法です。大量のデータを投入することで、データ内に隠されたパターンや法則を発見することができます。
例えば、膨大な顧客データを投入することで、隠された顧客行動パターンを発見し、新たな市場や新商品のターゲット層を特定することができます。
教師なし学習には「クラスタリング」「主成分分析」という2つのタイプがあります。
クラスタリングは、データをグループ分けする未知のパターンを導き出すもので、主成分分析は変数データを集約して、有益な情報を抽出するものです。

タイプ できること(例)
クラスタリング ・顧客をグループ分けしてレコメンドする
・携帯電話の中継地を最適な場所に設置する
主成分分析 ・テスト結果から学生の能力を確認する
・顧客情報から購買傾向を分析する

強化学習

強化学習とは、モデル自体が試行錯誤を繰り返すことで構築されるモデルです。特定の状況下において、モデルが適切な判断を行ったら報酬を与える一方、不適切な判断を下したらペナルティを与えていきます。コンピューターはこの経験を重ねることで、不適切な判断をしないように成長するのです。
また、強化学習はディープラーニングとの相性がよく、両方を組み合わせることで大きな成果を生み出しています。ディープラーニングとは日本語で”深層学習”と呼び、ニューラルネットワークの技術により膨大なデータから法則を探し出す高レベルのモデルです。
例えば、将棋や囲碁などのゲームや自動運転、ロボット制御などの場面で活用されています。学習に多くの時間を費やすことができる場合は強化学習が有効です。

半教師あり学習

半教師あり学習とは、名前のとおり教師あり学習と教師なし学習がミックスされた機械学習の手法です。
教師あり学習のデメリットとして、学習データに正解ラベルを付与する必要があるということが挙げられます。大量のデータに対してラベル付けを行う必要があり、時間とコストがかかります。
一方、その課題を克服する方法として、半教師あり学習があります。半教師あり学習は少数のラベル付きデータから学習し、それ以外のデータに自動でラベル付けしていきます。教師あり学習に比べて、ラベル付け作業にかかる時間とコストを大幅に削減することができます。しかし、データの種類が少ない場合や、データ間の関係性が複雑な場合、精度が低くなる傾向があります。

4. 機械学習モデルを作るまでの6STEP

機械学習モデルを作るまでの6STEP

機械学習モデルは、何も考えずにやみくもにデータを投入するだけで簡単に結果が得られる魔法のようなものではありません。モデルを完成させるには、以下のようなステップが必要です。

  1. STEP1:解決すべき課題を定義する
  2. STEP2:必要なデータを収集する
  3. STEP3:収集したデータを加工する
  4. STEP4:アルゴリズムを選択して構築する
  5. STEP5:構築したモデルを検証・評価する
  6. STEP6:継続的に再学習する

6つのステップについて解説します。

STEP1:解決すべき課題を定義する

機械学習モデルを作るときに最初に行うのは、解決すべき課題を定義することです。そもそもAI(機械学習)システム導入の目的は導入自体ではなく、導入することによる課題解決です。抱えている問題を十分に分析して、解決したい課題を明確にしましょう。
課題を定義したら、その課題の解決策としてAIシステム・機械学習の活用が適切なのか判断しましょう。AIシステム・機械学習は適切な状況で使用すれば、高い効果を発揮します。しかし、データの質や量、モデルの複雑さなどによって、効果が大きく左右されるという側面もあります。また、構築には時間や費用がかかるため、費用対効果の観点からも慎重に検討しましょう。
課題を明確に定義することで、データ収集のステップで迷うことがなくなります。

STEP2:必要なデータを収集する

解決すべき課題が定義できたら、学習用のデータを収集していきます。精度の高いモデルは、適切なデータを投入することで構築されます。課題解決に有効なデータをピックアップしましょう。
学習用のデータには量と質の両面が求められます。データ量が少ないと、モデルが十分に学習できず精度が低くなってしまう可能性があります。また、データの質についても十分な精査が必要です。データ品質を低下させる具体的な例としては、欠損値、誤入力、重複、外れ値などが挙げられます。
量と質の両面を意識したデータ収集によって、良質なモデルが構築できます。

STEP3:収集したデータを加工する

必要なデータを収集できたら、モデル構築に向けてデータを加工します。収集したデータを確認し、以下のような加工を行います。

  • 欠損データや外れデータの排除
  • 不要なデータの削除
  • データへのタグ付け

データには、数字がブランクになっている欠損値や、極端な異常値である外れ値が混じっています。これらのデータをそのまま学習データとして使用すると、モデルの精度が低下したり、学習がうまく進まなかったりするため、事前に排除する必要があります。不要なデータを削除することで、機械学習の効率化・精度アップが図れます。
データ加工は、機械学習モデルの精度を大きく左右する重要な作業です。データ加工を丁寧に行うことで、より高精度なモデルを構築することができます。

STEP4:アルゴリズムを選択して構築する

データ加工が完了したら、いよいよアルゴリズムを選択して機械学習モデルを構築していきます。
このステップでは、どのアルゴリズムを選択するかが大切です。アルゴリズムにはそれぞれ得意な分野があります。最初に定めた課題を念頭に置いて、以下の代表的なアルゴリズムの中から適切なものを選びましょう。

  • 回帰分析:数値的なデータの予測に適している
  • 分類:データを複数のカテゴリに分類するのに適している
  • クラスタリング:類似性を持つデータのグループ化に適している

アルゴリズムを選択したら、学習用データを投入して、学習させながらモデルを構築します。最初に選んだアルゴリズムが合っていなかったり、学習データが不足していたりするケースもあるので、モデル構築後には必ず評価を行います。

STEP5:構築したモデルを検証・評価する

モデルが構築できたら、検証や評価を行っていきます。モデル構築の成否は、当初の課題解決に対して十分な精度で回答できるかどうかにあります。そのためには、以下の点を確認する必要があります。

  • 精度:モデルが正しい回答を出せるか
  • 汎化性能:モデルが学習していないデータに対しても、高い精度で回答できるか
  • 安定性:モデルが常に同じ精度で回答できるか
  • 解釈性:モデルがどのように回答を導き出したのかを理解できるか

検証・評価には、以下の方法があります。

  • ホールドアウト法
    学習データを訓練データとテストデータに分けて、訓練データでモデルを学習し、テストデータでモデルの精度を評価する
  • クロスバリデーション
    学習データを複数のグループに分割し、各グループを交互に訓練データとテストデータとして使用して、モデルの精度を評価する
  • 誤分類分析
    モデルが間違った回答をしたケースを分析し、モデルの弱点を見つける

検証・評価は、単にモデルの精度を測定するだけでなく、モデルの弱点を見つけ、改善につなげるための重要なステップです。検証・評価を丁寧に行うことで、より高精度なモデルを完成させることができます。

STEP6:継続的に再学習する

十分な水準のモデルが完成しても、そこで終わりではありません。モデルは時間の経過につれて、精度が落ちる可能性があります。
大きな要因の1つは、正常時のデータの変化です。機械学習モデルは、過去のデータを学ぶことで予測を行っています。そのため、社会や状況の変化によって正常時のデータの傾向が変化すると、モデルが実態と乖離していきます。
モデルの精度を継続的にチェックして、以下のタイミングで再学習を行うことで、高いパフォーマンスを維持することができます。

  • 新しいデータが蓄積された時
  • モデルの精度が低下した時
  • 社会や状況の変化によってデータの傾向が変化した時

再学習は、機械学習モデルを常に最新の状態に保ち、高いパフォーマンスを維持するために欠かせない作業です。再学習を怠ると、モデルの精度が低下し実態と乖離してしまう可能性があります。

5. 機械学習手法を選ぶポイント

機械学習手法を選ぶ際には、以下の点に注意する必要があります。

  • 解決したい課題に合っているか
  • データの種類や量に合っているか
  • 許容できる計算量に合っているか
  • 求める精度に合っているか
  • モデルの動作を理解する必要がある場合は、解釈性の高い手法であるか

機械学習手法には多くの種類があり、強みや弱みが異なります。違いを理解して最適な手法を選択することが重要です。ここからは、機械学習手法を選ぶ4つのポイントについて解説します。

解決したい課題に合っているか

解決したい課題に合った手法を選択する必要があります。例えば、顧客の購買を予測したい場合は、回帰分析や分類などの手法が適しています。

データの種類や量に合っているか

使用できるデータの種類や量に合った手法を選択する必要があります。例えば、データ量が少ない場合は、決定木などのシンプルな手法が適しています。

許容できる計算量に合っているか

許容できる計算量に合った手法を選択する必要があります。例えば、リアルタイムでの処理が必要な場合は、計算量が少ない手法を選択する必要があります。

求める精度に合っているか

期待する精度に合った手法を選択する必要があります。対象とするデータの特性によって、それぞれの手法の得手・不得手がありますので、適した手法を選ぶ必要があります。

解釈性の高い手法か

モデルの動作を理解する必要がある場合は、解釈性の高い手法を選択する必要があります。例えば、線形回帰などのシンプルな手法は、解釈性が高いと言われています。

6. サービス利用で機械学習モデルを有効活用!

SAILESS

機械学習モデルは、大量の情報から人間では困難な予測をする能力を持っています。一方で、機械学習モデルの基礎となる機械学習手法には多種多様な種類があり、それぞれの特徴や用途が異なるため、適切なモデルを選択することが難しい場合があります。よって、構築には専門的な知識や長期間にわたる作業が必要となります。
異常予兆検知システム構築サービスSAILESSは、機械学習モデルも活用した異常検知システムのサービスパッケージです。専門知識を持った担当者が課題や要望、環境をヒアリングし、適切なモデルを構築します。運用後のフォローやアドバイスも得られます。また、ユーザによる再学習や他設備への流用を簡単に行うことができます。

SAILESSについて詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
https://www.uis-inf.co.jp/dins/sailess/

ご興味を持たれましたら、まずはお気軽にお問い合わせください。

7. 機械学習モデルQ&A

機械学習モデルについて、よくある質問をまとめました。

Q. 機械学習モデルの導入は難しい?

A.自社独自の機械学習モデルを導入するのは、簡単なことではありません。
例えば、製造業における異常検知システムを構築する場合、データ収集不足やモデル精度の低さ、専門知識の不足、導入コストが高額、運用リソース不足等の課題があります。社内に専門知識を持った人がいない場合は、専門家に相談し、進めていくことをお勧めします。
本文中でもご紹介したSAILESSは、専門知識を持ったスタッフが課題ヒアリングからデータ収集、モデル構築、運用フォローまでご支援いたします。これから導入を検討する場合も、ご相談ください。

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Q. 機械学習モデルの導入にあたっての注意点は?

A.機械学習モデル導入の注意点は、以下の3つが挙げられます。

1.目的を明確にする
機械学習モデルを導入する前に、まず導入目的を明確にする必要があります。例えば、製造ラインのダウンタイムを削減したいのか、顧客満足度を向上させたいのか、目的によって必要なモデルやデータが異なります。

2.適切なアルゴリズムを選択する
目的に合った機械学習アルゴリズムを選択する必要があります。機械学習手法には様々な種類があり、それぞれ得意な分野や精度が異なります。

3.データの質を確保する
機械学習モデルは、学習データに基づいて予測を行います。そのため、学習データの質が低いとモデルの精度が低くなったり、誤った予測をしてしまったりする可能性があります。

本文中でご紹介した異常予兆検知システム構築サービスSAILESSであれば、課題や目的などの事前ヒアリングから、適切なモデルを選択し、システム構築をサポートします。検知したい異常やデータ取得状況を踏まえ、PoC(事前検証)実施の上、最もフィットしたモデルによるシステム構築ができるので安心です。

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